正しくない恋のはじまり

覚悟を決めてきた以上、私は真正面から引き受ける。

「申し上げた通り、契約書と、支払いログです」

「…ふうん」

彼女たちの視線が、パソコンの画面に落ちる。

「それで?何が問題だと思ったの?」

試されている。

ここで曖昧にしたら、きっと無理やりにでも終わりにされる。

「契約上の委託先と、実際の支払い先が一致していません」

声が、少しずつ整っていく。
怖いはずなのに、不思議とぶれない。

「本契約では東都建設一社で受注していますが、支払いの一部が別会社に流れています」

「再委託じゃないの?」

三浦さんが、軽い調子ですぐに返してくる。
けれど、その奥にある意図だけが、まっすぐこちらに向いている。

「珍しい話じゃないでしょ」

ねぇ?と同意を求めてくる。その目は、異様なほど私から目を逸らさない。