正しくない恋のはじまり

どうすればいいのかなんて、本当は理解していた。
ずっと、ずっと、怖い気持ちは変わらない。

それでも、もう目は逸らさない。


手のひらに汗が滲む。

もう引き返せないことも。
やるべきことも。事実としてそこにあった。

「……このままは、無理です」

私もはっきりと、断言するように言った。
誰に向けた言葉でもなく、自分に言い聞かせるように。

青砥さんは、それを遮らない。

「……僕も、同じ気持ちです」

たった一言だけ、置いてくれた言葉。
でも、それで十分だった。

一人じゃない。

そう思ってしまった時点で、もう戻れない。


画面の右下に、“送信”のボタンが残っている。

押されないまま、私はゆっくりとマウスから手を離した。