正しくない恋のはじまり


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パソコンを開くと、静かな部屋に起動音だけが小さく響いた。

さっき保存したログを開き、今度は最初から辿る。

日付、金額、振込先。

ひとつひとつ確認していくうちに、曖昧だった違和感が、はっきりと形を持ちはじめる。
同じパターンが、何度も繰り返されている。

これは偶然じゃない。
意図して分けられている。

「……これ」

かすれた声が漏れた。

契約書を並べて見比べると、表向きの契約と実際の支払いが、わずかに、しかし確実に噛み合っていない。

ほんの小さなズレ。
それでも、それが積み重なっている。

見間違いだと思いたくて、もう一度確認する。

だけど結果は変わらなかった。

「……嘘でしょ」

小さくこぼれる。

知らなかったでは済まない。
もう、見てしまった。その事実だけが、静かに残る。