正しくない恋のはじまり


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会議が終わり、人がはけていく。

パソコンとタブレットを片付け、資料をまとめながらそっと息を整えていた。
さっきまで会議の熱が、まだどこかにある。

ちゃんと整えないと、次が来た時に焦ってしまいそうだった。


ひとりだけ残っていたはずの会議室のドアが、ノックもなしに突然開いた。
びっくりして顔をあげると、部長がいた。

「藤井、ちょっと。こっちへ」

しかめられているその顔を見ると、私への不満が募っているのが読める。

そうなっている理由は理解していた。
これは、ただの呼びかけじゃない。

「……はい」

そのまま、小さな打ち合わせスペースへ移動した。


いつの間にか、三浦さんも自然に部長の隣にいる。

これは───逃げ場がない、というより、最初から、逃がすつもりがない配置だった。