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午後のオフィスは、いつもよりざわついていた。
午前中に出した資料が、もう次の工程に回っているらしい。
「この案件、スピード感ありますね」
誰かの声が遠くで聞こえる。
「いい感じで進んでるし、このままいきたいんだろうね〜」
そんな軽い調子の会話の中に、自分の名前が混ざっているのを耳にしてしまった。
「藤井さん、さすがだよね」
「まとめ方、分かりやすいし」
「助かってるよね、絶対」
───“助かってる”。
また、その言葉。朝に、三浦さんからも言われた。
私は画面を見たまま、小さく「ありがとうございます」と返した。
ちゃんと、笑えていると思う。たぶん。
さらに、新しい修正依頼が届いていた。
【搬入経路:記述をさらに簡略化】
【日照:補足削除でOK】
【外構:金額のみ残す】
メールを読み終えて、カーソルが画面の上で止まる。
……削る。
また、削る。
ずっと、削っている。
必要なものじゃなくて、“都合の悪いもの”を。



