幽霊って怖い?

「幽霊って何が怖いか分かんなくない?」
 昼休みのいつもの暇潰しのための話題に、今日は幽霊を選んだ。暑くていい時期だしちょうど話題もあったから、お弁当を食べる友達の松崎にそんな風に話しかけた。
 松崎は少し眉間にシワを寄せてからぽつり呟くように反論した。
「……そうかな。見た目とか、雰囲気とか。怖いところはたくさんあるよ」
「でもそれって外見だけじゃん。実際の被害とかさ。結局幽霊が呪うとか、幽霊そのものよりそれがすることのほうが怖いじゃん。それって幽霊の怖さなの?」
 松崎は視線をお弁当に向けたままだ。もうほとんど残っていないのに、のんびりと食べている。
「……でも、幽霊はいるだけで怖いよ」
 今日はやけに反論する。何かあるのだろうか。怖い話が苦手だとか、実は幽霊による怖い目に遭ったとか。そんなことが聞ければこのつまらない昼休みも乗り越えられる気がする。
 私は一つ嘘をついてみることにした。
「そうかなぁ……。私ずっと疑ってて。こないだ行ってみたんだよね。心霊スポット」
 行ってはない。そんな危険そうなところに行ったりするような命知らずではない。でも松崎はびくりと顔を上げて私を見た。
「出たりした?」
 やけに食いつく。これは幽霊話が好きな方かもしれない。ここが引き際だ。私は首をふって答える。
「なーんにも。そりゃ廃墟の雰囲気による怖さとかはあったけど、そもそも幽霊でなかったし」
 そもそも行ってないところだ。見えるも何もない。私は話を切り替えて松崎からそういう、怪談的なものを聞こうと思った。
「ああ、なるほどね」
 だけど松崎は納得いったように頷いている。お弁当もいつの間にか食べ終わっていた。松崎の態度が分からず私は首を捻った。
「なるほどって、何が?」
「背中にいたら、見えないよね」