クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした


職員室の窓は、少しだけ開いていた。ラッキー。

私は窓のふちに手をかけ、腕の力だけで体を持ち上げる。

体操教室で鍛えた上半身が、今夜も仕事をしてくれる。

すっと体を滑り込ませると、静かに床へ着地できた。

職員室は暗く、コピー機のランプだけが赤く光っている。

私は、藤代先生の机を見つけた。

引き出しには、鍵がかかっている。

南京錠だけじゃない。取っ手には、小さな鈴がついていた。

防犯用だ。引き出しを開ければ、音が鳴る。

周りを見回し、私はカバンから細い糸を取り出した。鈴の金具に糸を引っかけて、ゆっくりと固定する。

よし、これで鳴らない。

次は鍵。今度は針金を取り出した。図書室の隅で見つけた古い本『探偵のための基礎知識』に載っていた方法を、何度も練習した。

針金を鍵穴に差し込んで、慎重に回す。指先に神経を集中させて、鍵穴の奥の感触を探る。

手が震える。落ち着いて、私。