クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした


「ちょっと、ふーってするね」

えっ?

耳元で翼くんの優しい声がした、と思ったら。私の指にそっと息を吹きかけた。

ふわっと温かい息がかかって、肩がびくっと跳ねる。

顔が、沸騰したみたいに熱い。

ドキドキしすぎて、心臓の音が翼くんに聞こえちゃいそう。

「よし、貼れた。これで大丈夫」

ニコッと笑った翼くんの顔が、すぐ近くにある。

「あ、ありがとう……」

消えそうな声で言うと、翼くんはふっと笑った。

「怪盗ムーンも、ケガには気をつけないとね」

「……っ!」

思わず顔を上げると、翼くんが真剣な目で私を見つめていた。

「安心して。誰にも言わないから」

翼くんは、人差し指を唇に当てた。

「俺たち二人だけの、秘密だよ」

私は、人差し指にはられたピンク色の絆創膏をじっと見つめた。

翼くんが貼ってくれた。そう思うと、なんだか大切にしたくなった。