クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした


その日の放課後。私は一人、空き教室で段ボールと格闘していた。

おばけの形に切り抜いて、バネを取り付ける。試しに動かしてみると──。

パッ!

おばけが勢いよく飛び出した。

「いい感じ。でも、もう少し速くしたいな……」

ゴムの強さを調整して、もう一度。

パッ!

「よし、今度はばっちり」

「すごいね。バネとゴムの力をうまく使ってる」

すぐ後ろから声がして振り返ると、翼くんが立っていた。夕日が翼くんをキラキラと照らしている。

「手伝いに来た」

翼くんが、照れくさそうに鼻の頭をかいた。

「じゃあ、この段ボールを切ってくれる? お墓の形にしたいんだ」

「了解」

翼くんはカッターを手に取り、慎重に段ボールを切り始めた。

二人で作業する音だけが、静かな教室に響く。

「翼くん、切るの上手だね」

「昔、工作にハマってた時期があってさ」

私も一緒に段ボールを切り始めた。

そのとき──カッターの刃が、つるっと滑ってしまった。

「痛っ!」

左手の人差し指から、ぷくっと赤い血がにじんできた。

「大丈夫!?」

翼くんが、すぐに駆け寄ってくる。

「ちょっと切っちゃっただけ……」

「待ってて」

翼くんは自分のカバンから絆創膏を取り出し、私の手をそっと取った。

「じっとしてて」

翼くんの指が、私の指に触れる。心臓がトクトクとうるさい。