「一緒に食べてもいい?」
「え……」
「ねえ、デザート交換しない? 美月ちゃんのブドウゼリー、私好きなんだ。代わりに私のプリンあげるから!」
凛ちゃんは断る隙を与えず、私の隣にすとんと座った。こういうところが、凛ちゃんらしい。
「……うん」
二人で食べるお弁当は、さっきまでよりずっと美味しく感じた。
「ねえ、美月ちゃん」
凛ちゃんが、急に真剣な顔になる。
「最近、ちょっと疲れてない? 目の下、クマができてるよ」
「……少し調べ物をしてて」
「そっか。無理しないでね」
窓の外では、秋の風が木の葉を揺らしている。
こんなふうに、誰かと一緒にお弁当を食べるなんて久しぶりだった。
*
「美月ちゃん!」
放課後、凛ちゃんが私の席に駆け寄ってきた。
「文化祭のお化け屋敷の仕掛け、美月ちゃんにお願いしたいんだけど、いいかな?」
「仕掛け?」
「うん! 幽霊が飛び出してくるやつとか、床が揺れる仕組みとか」
凛ちゃんの目がきらきらしている。
「美月ちゃん、手先も器用だし。工作とかうまいでしょ?」
一瞬ためらった。だけど――誰かに必要とされるのは、秋の陽射しみたいに心地よかった。
「……分かった。やってみる」
「やった! ありがとう、美月ちゃん!」
凛ちゃんの顔が、太陽みたいにぱっと明るくなった。
凛ちゃんの笑顔、好きだな。



