クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした


「一緒に食べてもいい?」

「え……」

「ねえ、デザート交換しない? 美月ちゃんのブドウゼリー、私好きなんだ。代わりに私のプリンあげるから!」

凛ちゃんは断る隙を与えず、私の隣にすとんと座った。こういうところが、凛ちゃんらしい。

「……うん」

二人で食べるお弁当は、さっきまでよりずっと美味しく感じた。

「ねえ、美月ちゃん」

凛ちゃんが、急に真剣な顔になる。

「最近、ちょっと疲れてない? 目の下、クマができてるよ」

「……少し調べ物をしてて」

「そっか。無理しないでね」

窓の外では、秋の風が木の葉を揺らしている。

こんなふうに、誰かと一緒にお弁当を食べるなんて久しぶりだった。



「美月ちゃん!」

放課後、凛ちゃんが私の席に駆け寄ってきた。

「文化祭のお化け屋敷の仕掛け、美月ちゃんにお願いしたいんだけど、いいかな?」

「仕掛け?」

「うん! 幽霊が飛び出してくるやつとか、床が揺れる仕組みとか」

凛ちゃんの目がきらきらしている。

「美月ちゃん、手先も器用だし。工作とかうまいでしょ?」

一瞬ためらった。だけど――誰かに必要とされるのは、秋の陽射しみたいに心地よかった。

「……分かった。やってみる」

「やった! ありがとう、美月ちゃん!」

凛ちゃんの顔が、太陽みたいにぱっと明るくなった。

凛ちゃんの笑顔、好きだな。