クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした


翼くんに秘密を打ち明けてから一週間。

九月が終わり、十月に入ると、学校は一気に文化祭ムードになった。

廊下には色とりどりのポスターが躍り、絵の具とボンドのにおいが鼻をくすぐる。

『ようこそ、ご主人様♡ 三年五組メイドカフェ』

『悲鳴続出! 二年二組お化け屋敷』

『青春、全力! 一年三組ダンス発表』

「なあなあ。BGMは、もっと怖い感じにしようぜ!」

「血のり足りなくない?」

休み時間になるとみんなが机を突き合わせ、出し物の準備で声を弾ませている。

ちなみに、私のクラスの出し物はお化け屋敷だ。

私は、自分の席でひとり静かに本を読んでいた。

文化祭……。お祭りの騒がしさは、あまり得意じゃない。

それでも今年は、少しだけ違う気がしていた。



昼休み。クラスのみんながお弁当を広げる時間。

私の班は、いつも私の席だけ少し離れている。

「いただきまーす!」

楽しそうな声が響く。

今日のお弁当はハンバーグ。お母さんが作ってくれたものだ。

冷めてもふっくらしていて、美味しい。でも、一人で食べると少しだけ味気ない。

「美月ちゃん」

ふいに声をかけられて顔を上げると、凛ちゃんがお弁当を持って立っていた。