その夜。自分の部屋で、私は『星の王子さま』を開いた。
『大切なものは、目に見えない』
ねえ、優衣ちゃん。あなたも今、アメリカのどこかでこの本を読んでるかな?
窓の外に目をやると、月がきれいに光っている。
明日も、私は地味な図書委員として学校に行く。透明人間の私として。
そして、誰かが困っていたら──また、夜に動く。
次は、どんな依頼が来るんだろう。
しばらくして、スマホが震えた。
知らない番号からのメッセージ。開くのが、少し怖かった。
私はゆっくりと、画面をタップした。
添付された画像には、暗い図書室で『星の王子さま』の本の前に立つ人影が写っていた。
差出人は、不明。
誰……? 新しい依頼? それとも──。
翼くんの言葉が、頭をよぎる。
『俺はまだ、君の正体を追ってる』
私は、窓の外の月を見上げた。
来るなら、来い。私は──逃げないから。



