クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした


「ひなの……本当にごめん。あなたの大切なリボンを壊してしまって」

ひなのちゃんは先輩を見上げ、目を大きく開く。

「先輩……これ」

「怪盗ムーンが、直してくれたんだ。私は……お願いするしかできなかったけど」

ひなのちゃんは、縫い合わされた部分にそっと指を当てる。

「すごくきれいです」

ひなのちゃんの目から、涙がこぼれた。

「ありがとうございます、先輩。怪盗ムーン様も」

リボンを胸に抱きしめて、ひなのちゃんは泣いた。二人は、どちらからともなく抱き合った。

入口の陰で、私はカバンのストラップをぎゅっと握りしめた。

のどの奥が、熱くなる。良かった、本当に良かった。



九月二十三日、月曜日の昼休み。廊下を歩いていると、小柄な女の子とすれ違った。

新体操部のジャージを着た、一年生。ひなのちゃんだ。

「あの……」

その子が、私を呼び止めた。