クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした


「うん。大事なものを直してるの」

「裁縫? ケガしないでね」

「大丈夫」

足音が遠ざかっていく。

縫い目が少しずつ揃ってきた。裂けていた布が、ゆっくりつながっていく。

次は星のチャームだ。

伸びて外れかかっていた小さな輪っかを、細い針金でそっと閉じ直す。

定規の平らな角を当てて、体重をかけるようにして押しつぶす。

「……よし」

歪んでいた接続部が、少しずつ元の形に戻っていく。仕上げに接着剤を一滴つけて、乾くのを待った。

窓の外が、明るくなってきた。

縫い終えたリボンを一度、手のひらで広げてみる。

完璧じゃない。お店で売っているものみたいに、きれいな仕上がりじゃない。

よく見ると縫い目はガタガタだし、チャームの輪っかも少し不格好だ。やり直して糸を抜いた跡も、うっすら残っている。

でも──ちゃんと、つながっている。

バラバラに裂けていたところが、またひとつになった。

私はリボンを丁寧に袋に戻しながら、夜明けの空を見つめた。

優衣ちゃん、見ててくれたかな。