クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした


今夜のターゲットは、体育教師・藤代(ふじしろ)先生の机。

前日の水曜日、図書室の『星の王子さま』の本に一通の手紙が挟まれていた。

『怪盗ムーン様へ。

藤代先生に取り上げられた、ミサンガを取り戻してください。

それは、私たちバスケ部が去年の県大会で優勝したときに、みんなで編んだものです。

来週の月曜日に、当時のメンバーで集まって、引退前の決起集会をするんです。

そのときに、みんなでこのミサンガを身につけたいんです。
どうか取り戻してください。お願いします。

──三年二組 高橋(たかはし)莉奈(りな)

藤代先生は、ルールにとても厳しい先生だ。

「校則でアクセサリーは禁止だ。体育の授業中、ミサンガが器具に引っかかって大きな事故になる可能性もある。これはしばらく預かっておく」

そう言って、取り上げてしまったらしい。

莉奈先輩がどんなに事情を説明しても、先生は「ルールに例外は作れない」の一点張りだったという。

先生の言うこともわかる。でも、これはただのアクセサリーじゃない。仲間との思い出がつまった、大切なものだ。

ルールを守るのが先生の仕事なら、心を守るのが私の仕事。

先輩のミサンガ、絶対に取り戻してみせる!