扉を開けると、棚の奥に透明なビニール袋があった。
手に取ると、中には淡いピンクのリボンが入っていた。ツルツルした光沢のある生地が、真ん中から大きく裂けている。
裂けたところは、糸がもじゃもじゃになっていた。先輩に強く踏まれて、切れてしまったのだろう。
リボンの先には、スティックにつなぐ金具。そのそばには、小さな銀色の星のチャームが揺れていた。
表面の色が少しはげているし、つなぐ輪っかも曲がって、今にも外れそうだ。
それでも、布の手触りはびっくりするほどなめらかだった。
何年も何千回も空を舞って、ひなのちゃんとお母さんの想いを吸い込んできたような、不思議な温もりがある。
相馬先輩は、このリボンを捨てていなかった。ビニールに丁寧に包んで、ロッカーの奥に大事にしまっていた。
先輩は、これをなくしたかったわけじゃない。どうやって返せばいいか、わからなかっただけなんだ。
そう思った、そのとき──。
ガチャ。
部室のドアが開いた。
まずい!



