放課後。私は図書委員として、図書室で本を整理していた。
返ってきた本を本棚に戻す作業。地味だけど、私には合ってる。誰とも話さなくていいし、一人で黙々とできる。
そのとき、ドアが開いた。振り向くと、翼くんが入ってきた。
「こんにちは、七瀬さん」
翼くんが軽く手をあげる。
「こ、こんにちは」
声をひそめて答える。翼くんは本棚を眺めながら、ゆっくりと歩いてくる。静かな図書室に、翼くんの靴音だけが響く。
「ここ、静かで落ち着くね」
「……そうですね」
私は、本を整理する手を止めない。
「怪盗ムーンの話、聞いたよ」
手が止まりそうになったけど、必死に動かし続ける。
「……有名ですよね」
「七瀬さんは、どう思う? 怪盗ムーンのこと」
「え……」



