クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした


九月十六日。月曜日の朝のホームルーム。担任の先生が教壇に立った。

「今日から、このクラスに仲間が増えます」

教室がざわつく。転校生? 九月半ばの、この中途半端な時期に?

ガラガラ。

ドアが開いて、一人の男の子が入ってきた。

背が高くて、爽やかな笑顔。少し癖のある黒髪。制服の着こなしも、どこかおしゃれだ。

その笑顔がこちらに向かった瞬間、なぜか空気が変わった気がした。

日向(ひなた)(つばさ)です。よろしく」

クラス中の女の子が、キャーッと声を上げる。

「前の学校では、野球部でした。趣味は読書、特にミステリー小説が好きです」

ミステリー小説……。

その言葉に、なんとなく嫌な予感がした。

翼くんは教室を見回した。女子たちが手を振ったり声をかけたりする中で──翼くんの視線が、私で止まった。

え?

誰にも見えないはずの私を、まっすぐ見ている。

まさかこの人、私が見えてるの……?