人形姫と秘密のお役目 -1-

 向こう側の女子が眉をひそめながら、もう一度シャトルを返す。

 再び、一歩踏み込む。

 シャトルが来るたび、あの子はラケットに一瞬だけ霊力を乗せる。

 そのたびに、狙ったみたいに別の場所へ飛び、空気のどこかが浄化されたみたいに澄んでいく。

 もう偶然じゃない。

 打ち損じでもない。

 わざとだ。

 明らかに、勝負とは別の目的で打っている。


(……何がしたいんだ?)


 試合をしているように見せかけて、なにをしている?

 もっと言うと対戦相手ではなく、別の何かを相手にしているみたいだった。

 なにかに向かって打って、祓っている。

 俺には、それが分からない。

 だけどあの瞳、あの後ろ姿が記憶のなかの彼女と重なった。