野球、やりませんか⁉

***


「ただいまー」


 練習着を洗濯に出した時点で、野球をやってきたことは、お母さんに間違いなくバレてしまう。

 それに、これから本格的に部活をやるには、いつまでも黙っているわけにはいかない。


 覚悟を決め、洗濯物をひと抱え持って、わたしはリビングへの扉を開けた。


「お母さん」

 わたしが呼びかけると、カウンターキッチンに立つお母さんが、わたしの方を見た。


「まあ……どうしたの、それ?」

 わたしの持つ洗濯物の意味を察したお母さんが、眉をひそめる。


「あのね、野球部でセカンドをやれる子がいなくてね、それで――」

「それでムリやり押しつけられたの? わかった。明日お母さんが、ちゃんと学校に抗議してあげるから。『もう野球はやりたくないって言ってますから』って」

「待って、お母さん。違うの!」

 お母さんの言葉を途中で遮って、言葉を挟む。


「全然違うよ。わたし、野球がやりたいの。ずっとお兄ちゃんにムリやりやらされてたわけじゃなくて、わたし、ずっと野球が大好きだったの。だから、みんなとまた野球がやりたい。お母さん、お願い。わたしに野球をやらせて!」

 途中でお母さんに口を挟む隙を与えず一気に最後まで言いきると、はあはあと大きく息をする。