野球、やりませんか⁉

「なに。ひょっとして怖気づいてんの?」

「べ、別に怖気づいてなんかねーわ!」

「そ。んじゃ決まりだな」

「なっ……」

 中山くんが、なにか言いたげに口をパクパクさせたあと、わしゃわしゃと髪をかき混ぜる。


「だーもう! わーったよ。しょうがねえなあ。他にピッチャーやれるヤツがいねえっつーなら、やめるわけにいかねえし。おまえらのためにやってやるよ」


 ふふっ。ほんと、素直じゃないんだから。

 もうとっくにみんなにバレちゃってるよ。

 本当は、野球が大好きだってこと。


 最初はめちゃくちゃだったけど、わたしと対決することになってから、明らかに練習態度が変わった。

 それはきっと、わたしに絶対勝つっていう目標ができたから。


 わたしも同じ。


 中山くんに勝ちたくて必死だったから、他のことなんかどうでもよくなっちゃった。

 例えば、経験者だってバレたくない……とか。


 そんなことより、絶対勝ちたい、もっとうまくなりたいってことばっか考えてたもん。


「あ、ちなみに練習はガチでちゃんとしろよ。これからもっときつくなるから、覚悟しとけよな」

「今よりきつくなるのかよ!」

「当たり前だろ、全国制覇目指してんだからさ」

「わ……わかったよ。やるよ。やりゃあいーんだろっ」

 ヤケクソ気味にそう言い放つと、中山くんは若干不安そうにみんなの顔を見回した。


 けど、ここ数日の中山くんの努力を、ずっとみんな見ていたんだもん。

 誰も反対する人はいなかった。


「そんじゃ改めまして。星黎学園野球部へようこそ」