野球、やりませんか⁉

 純粋に守備がいいっていうのもあるけど、もっと力のあるバッターなら、外野の頭を越えていたかもしれない。

 思わずぎりっと奥歯をかみしめる。


「ギリギリだな。おまけだよ、おまけ」

 そんなことを言いながら、中山くんが続いてバッターボックスに入る。


「おい、今のは完全にボール球だぞ。簡単に振るな。敵のピッチャーを助けてどうする」

「だから、ストライクゾーンを意識しろと言ってるだろ」

「大振りばかりするな。もっとコンパクトにスイング――」


「うるさいなあ。バッティングくらい好きにやらせろよ!」

 渡瀬くんに何度も厳しく指摘され、中山くんがイライラを隠さず大きな声で言い返す。


 そして六球目。おもいっきり高めのボール球を全力で振りぬくと、中山くんの打球は外野の頭をゆうゆうと越えた。


「よっしゃ! どうだ、見たか!」

「……見逃せばボールだがな」

 渡瀬くんが、小さくため息をつく。


 あはは、たしかに。


 でも、そのボールを外野まで運ぶ中山くんのスイングは、やっぱり期待せずにはいられないよ。