野球、やりませんか⁉

「それにさ、それ以外にも棚橋、決定的なミスしてるから」

「決定的なミス……?」


 え。わたし、いつどこでなにをした⁇


「なんで棚橋は竜崎監督の名前を知ってたんだろうねー。初めてしゃべったとき、俺は『監督』としか言わなかったのに」


 ウソ……。


「わたし、ひょっとして監督の名前、言ってた?」

 口元を引きつらせながらわたしがたずねると、有沢くんが、こくりとうなずく。


「言ってた。ハッキリと。それに……覚えてない?」

「なにを?」

「……いや。覚えてないならいーよ」

 そう言って、なぜか苦い顔をする有沢くん。


「それより、ほらっ。遅くならないうちに練習するよ」

「う、うん、そうだね」


 なんのことかわからなくてモヤモヤするけど、これ以上わたしの過去にも触れてほしくないし。深追いはしないでおこう。


 それから日がとっぷり暮れてボールが見えなくなるまで、わたしたちは必死にボールを追いかけた。