野球、やりませんか⁉

「とにかく、中山との対決の日までは、俺が棚橋の自主練に付き合うから」

「ううん、一人で大丈夫! 有沢くん、部活のあとで疲れてるだろうし。その気持ちだけで十分だよ。ありがとう」

 慌てて首をぶんぶん横に振ってお断りする。


 時間いっぱいまで汗だくの泥だらけで白球を追いかける毎日。

 中山くんがちゃんと来るようになって、練習に一段と熱が入るようになったのは間違いない。

 これはわたしの問題なんだから、くたくたに疲れているはずの有沢くんに手伝ってもらうわけにはいかないよ。


 ……けど、一人での練習には正直限界を感じていたところだ。

 それに、手伝ってくれるつもりで、わざわざ遠回りしてまでここに来てくれたってことだよね?


「……ごめんね。やっぱりちょっとでいいから、お願いしてもいい?」

「おっ。やっと素直になった」

 有沢くんが、ニッと笑う。


「ねえ、ほんとは棚橋なんじゃないの? 竜崎監督がスカウトしたセカンドって」

「そんなわけないってば!」

 キッパリと否定しながらも、おもいっきり目が泳ぐ。


 そんなわたしを見て、有沢くんがクスッと笑う。


「棚橋さ、自分のクセ、気づいてる? ごまかそうとすると、めっちゃ目が泳ぐんだけど」


 えぇっ。今までそんな指摘、誰にもされたことなかったんだけど⁉