野球、やりませんか⁉

「有沢くん⁉ なんで……今日は用事があるって言ってたのに」


 み、見られてないよね? 練習してたとこ。


 ドキドキしすぎて、今にも心臓が飛び出してきそう。


「そ。だからその用事をしにきたの」

 そう言いながら、カバンを広場の隅に置くと、有沢くんは自分のグローブを取りだした。


 用事って……ひょっとして、わたしの自主練に付き合ってくれるつもりで……?


「安心してよ。他のヤツらに言ったりしないから」

「へ⁉ な、なにを?」

 あくまでもとぼけようとするわたしを見て、有沢くんが苦笑いを浮かべる。


「でもさあ、今さらヒミツにしたって意味なくない? だって、中山と本気で勝負したら、どう考えたってバレるでしょ。棚橋がバリバリの野球経験者だってこと」

「い、いや別に経験者ってわけじゃ……」


 うぅっ、やっぱり見られてたんだ。

 でもさ、いろいろ聞かれたくなかったんだもん。

 なんでやめたのかとか、どうして経験者だって黙ってたのかとか。


「まだごまかすつもり? まあ、どうしても認めたくないなら、別にいーけどさ」

 ふっと小さく笑うと、有沢くんがもう一度口を開く。