野球、やりませんか⁉

「思い出した! あの試合のときの‼」

 有沢くんを指さして、思わず大声を出す。


 そうだよ。わたしが野球をやめる一番のきっかけになった、あの剛速球ピッチャーだ。

 そんな圧倒的な実力のある人にそんなふうに思われていたなんて、考えたこともなかった。 


「ってことで、棚橋はどんな形でもいいから、とにかく塁に出て。あとは俺らが絶対にホームに返してやるから」

「うん……わかった。絶対に出る」


 わたしのやるべきことは、有沢くんにつなぐこと。

 弱気なことを言ってる場合じゃない。

 この場所を守るためには、やるしかないんだ。


「棚橋の前に、7番8番も必ず塁に出ろ。塁上でピッチャーに揺さぶりをかけるんだ」

「最終回の攻撃前に、もう一回円陣組んどく?」


 有沢くんの言葉を合図に、円になって立ったみんなの顔を、ぐるりと見回す。

 まだ諦めた顔をしている人は、一人もいない。


「一点……みんなで絶対取ろう! 絶対勝つぞ‼」

「「「「「「「「「おーっ!!!!」」」」」」」」」