野球、やりませんか⁉

 今日のわたしの成績は、三振ふたつ。

 2回ともフルカウントまで粘ったんだけど、塁に出ることはできなかった。


「そうだ! わたしの代わりに中山くん――」

「いや、棚橋にはそのまま打席に立ってもらうつもりだ」

「わたしがキャプテンだからって、気を遣わなくていいからね? っていうか、気を遣ってる場合じゃないし」

「誰がそんなことを言った? 出塁の確率が高いから出す。それだけのことだ」

「ほんとそれ。ピッチャーからしたら、棚橋みたいなタイプって、マジでイヤなバッターだから」

 そう言いながら、有沢くんがおもいっきり顔を歪める。


「そんで、俺の全力投球をフォアボールにしたことも覚えてないって言い張るんだからさ。まいっちゃうよねー」

 肩をすくめて首を左右に振る有沢くん。


「え……やっぱりわたし、有沢くんと対戦したこと、ある?」

「うわっ。マジで覚えてないんだ。俺、あの試合だけはどうしても忘れられないっつーのに。ひどくない?」


 うぅっ、そんなこと言われたって……。


「棚橋の第二打席。あの日、俺が出した唯一のフォアボールだったんだよねー。あれがなかったら、完全試合だったのにさ。あー、思い出しただけで腹立ってきた」


 いやでも、それってノーヒットノーランだったってことじゃ……。


 え、ノーヒットノーラン……?