野球、やりませんか⁉

 そして1回裏、次はわたしたちの攻撃だ。

 監督のいないわたしたちのチームの攻撃の指揮は、守備の司令塔でもあるキャッチャーの渡瀬くんがとることになった。


 普通なら、打率が高くて長打が一番期待できる選手を4番に持ってくるところだけど、わたしたちは、とにかく打席がたくさんまわる先頭バッター重視。

 1番有沢くん、2番渡瀬くん、3番土谷くん、4番が八柳くん、そしてラストバッター9番がわたしだ。


「さすがにうまいな」


 表の相手チームの攻撃に続いて、わたしたちも残念ながら三者凡退。


「三年を出すのはズルい……なーんて言えないからねー。ま、俺がこのまま点をやらなければいいんでしょ?」

「すごい自信だな」

 渡瀬くんが、口元に笑みを浮かべる。


「今日の俺、めっちゃ調子いいしー。でも、相手も調子よさそうだよね。……これは初回に、なにがなんでも一点ほしかったかも」


 有沢くんの言葉通り、お互いなかなかチャンスをものにすることができないまま回は進み、ついに最終回の7回裏を迎えた。


「ねえ、棚橋さん。勝ったらグラウンドは野球部がこれからも使っていいっていう話だったよね? じゃあ、引き分けの場合ってどうなるの?」

 土谷くんが素朴な疑問を口にすると、一瞬静まり返ったあと、みんなが一斉に口を開く。


「あの理事長のことだから、引き分けはダメとか言いだすんじゃね?」

「マジかよ。あと1回で……って、おもいっきり下位打線じゃん」

「おいおい、どーすんだよ、これ」


 7回裏、三人目のバッターのわたしに、みんなの視線が集まる。