野球、やりませんか⁉

「うん。ぼくも、棚橋さんが適任だと思うよ」

「こういうのは、実力云々よりも、人を動かすのがうまいヤツがやるもんだって相場は決まってんの。覚悟しなって、羽瑠ちゃん」


 土谷くんと八柳くんまで!

 あーもうっ。みんな、後悔したって知らないからね⁉


 わたしが円陣の真ん中に手を差しだすと、みんなも一斉に手を差しだした。


「……ねえ、こういうときって、なにを言えばいいの?」

 隣に立つ有沢くんにこそっとたずねる。


 だって、声出しなんてやったことないんだもん。


「棚橋が思ってることを言えばいいんじゃない?」


 わたしが思ってること……。


「えっと……理事長先生との今回の勝負、勝手に決めちゃって、本当にごめんなさい!」

「今さら、それ?」

「いつまで気にしてんだよ」

 みんなが笑ってくれる。


 野球をやめるって決めたときは、まさかこんなことになるなんて、思ってもみなかった。

 けど、こんなに頼りになる仲間に出会えたことは、今までの人生で一番の幸運だって思う。


「わたし、こんなところで野球部を終わらせたくない。みんなと、まだまだ野球がしたい。だから……絶対勝つぞ‼」

「「「「「「「「「おーっ!!!!」」」」」」」」」

 みんなの気合の声が、グラウンドに響いた。