病院につくと律くんは病室のベッドで酸素マスクをつけられていた。
思わず手を握りたくなってしまって、駆け寄る。
「っ…律くん、」
苦しそうに顔を歪めている律くんを見て胸がぎゅっと締め付けられる。
何でいつも頑張ってるのに、何でいつも場を明るくしてくれるのに…。何で律くんなの?
「変わってあげたいっ、、」
いつの間にか涙が出てきていたらしく、律くんの頬に一滴の雫が落ちる。
すると
「ん、」
律くんの指がかすかに動いた。
「律くんっ!?」
「さ、咲良ちゃん、?」
「律くんっっ」
抱きついてしまって、律くんは一瞬驚いたようで体を反らしたけどすぐに安心させてくれるように抱きしめてくれた。
「大丈夫だよ、心配かけてごめんね?」
「律くんが謝らないでよっ」
「律?無理するなよ」
「陸玖くん!ありがとうね」
「気にするな、お前にはいつも世話になってるからな。」
「こちらこそ、」
病気になってるとは思えないようなとびっきりの笑顔ではにかむ律くん。
「律くん、本当に無理しないでね?律くんいないとやっぱり、」
…胸が苦しくなる。
この気持ちってなんだろう…。
「やっぱり?」
「ううん、何でもないよっ」
「?そう?」
「うん、ただいないと不安になるからって伝えたかったの!」
「何か咲良ちゃん、いつもより早口じゃない?」
「確かに、そうかもな。」
「え、あ、そんなことないよっ」
「?そうか、」
「?そう?何もないならいいんだけど」
「うんっ!全然大丈夫だよ」
「大丈夫かっ!」
「律くん!大丈夫!?」
急いで走ってきたらしい凪先輩と港がきた。
「凪くん!港くん!おかげさまですっかり元気だよ〜っ!」
「あ、そうすか、。来た意味ねぇじゃねぇですか」
「港っ!そんなこと言わないのっ!良かったでしょ?元気になってくれて」
敬語なのか、口が悪いのか…。何語を喋っているのかよくわからなかったし。
「そうだけどよ…」
何か不満、みたいな顔と声色だった。港は昔から強がる癖があるから、言っちゃったんだろうけど、きっと心配してたんだろうな。
「律は無理する癖あるから、やりすぎには気をつけるんだよ?」
「もう咲良ちゃんと陸玖くんに十分注意されたよ〜」
「でも律は何回言ってもみんなのため、って言って度を超えるから」
「ふふ、確かに」
いつもの生徒会が見られた気がして嬉しくなって笑っちゃった。
「あ〜っ!咲良ちゃん笑ったでしょっ!」
「ごめん、ごめん。いつもの生徒会が見れたのが嬉しくって」
「そうだな、」
みんなで話しているとドアをノックする音が聞こえて、お医者さんが入ってくる。
「みなさん、来ていたんですね。律さんの状態も良くなってきているようで良かったです。今週中には退院できると思うのでそれまでは安静にしておいてくださいね?」
「はいっ」
律くんが元気に返事をしているのがかわいくて思わず笑っちゃった。でも元気になって良かったな。
さっき、何で律くんがこんな目にって思ったけど、間違っていた。
律くんだから、いつも頑張っているから、こんなときでもひどくならなかったんだ。
「ではまた来ますね」
と言ってお医者さんが部屋から出ていった。
「俺たちも帰るか」
「そうっすね、元気そうですし」
「わたしは今日は学校休んで、律くんのこと見てようかな」
「ほんとっ!?やった〜!」
「は!?咲良何言ってんだよ!」
「え?だめなの?」
「あっ、べ、別にそういうわけじゃねぇし」
「そう?」
「じゃあ帰るか、また放課後来るからな」
「うん、また来るね〜」
凪先輩が通りすがりに頭をぽん、と撫でてくれた。
「じゃ、また。律先輩、変なことしないでくださいよ?」
一瞬律くんをきっ、と睨むようにして言う。
「だーかーら、港っ」
「わりいっ、わりいって」
「はは、港は俺が見るね」
「凪先輩っっ!頼りになりますっ、ありがとうございますっっ」
「ううん、大丈夫だよ。じゃあまたね」
みんなが出ていって二人になる。
「ねぇ咲良ちゃん」
「うん?どうしたの?」
振り返ると
「ちゅっ」
リップ音が響いた。



