冷徹宰相様の嫁探し

「そもそもそれは使用人として王宮に上がったときの話で。
 何処の正妃が王宮を出て、貴族の屋敷に仕えると言うのだ」

 お前があそこを出るときは、何か邪魔になって処刑されたときか、王となった王子が隠居するときだけだ、と言う。

「……困りましたね」

「お前が素直に王子の元に嫁いでくれれば、困るどころか、我々は万々歳なのだが……」

 いや、そうなんでしょうけどね、と思ったマレーヌに、不機嫌なマテオが言う。

「マレーヌ様、あれは恐ろしい方ですよ」

「え? エヴァン王子?」
と訊いたが、私など王子様にお目通りしてお話しする機会など、そうそうございません、と言われてしまう。

「この間は宰相様に追い払われてしまいましたし」
「そういえば、そうだったわね」

「私が申しているのは宰相様のことですよ」
 渋い顔でマテオは言う。

「そうですか?
 恐ろしいですか?

 宰相様、目つきや口調はあれですが。
 ああ見えて、思いやりとユーモアにあふれていると思うのですが」
と言って、

「どの辺がですか……」
と言われてしまう。

 いや、笑顔でなにを考えているのかわからないルーベント公爵などより、余程いいと思うのだが。