「では、全身を綺麗に整えましょう。昨夜のうちに髪は洗いましたから、ていねいに椿油を施して結いましょうね」
「うん、お願いね」
「今日はみなさん洋装らしいので、お嬢様もドレスですよ」
千代の言葉に、桜和はにこりと満面の笑みを浮かべてうなずいた。
母の言いつけを守り、全身の身なりを整えた桜和は両親と共に馬車で野宮邸へ向かった。
伯爵家である菊地の家もほかと比べると大きいけれど、野宮邸はさらに敷地が広い。
何人もの使用人が出迎えのために玄関先で一列に並び、頭を下げている。
さすがは公爵家だなと、桜和は訪れるたびに毎回圧倒されていた。
社交界がおこなわれる広間へ案内されて足を踏み入れると、上流階級の貴族たちがすでに集まっていた。
桜和と両親もその輪に混じり、お決まりのあいさつを交わしていく。
今日は洋装でと事前に言われていたので、和服姿の者はひとりもおらず、まるで異国に来たみたいだと桜和は緊張が増した。
「あら、桜和さん」
後ろから声をかけられて振り向いた先に、煌太郎の母が憮然とした顔をして立っていたので、桜和はあわてて頭を下げた。
「本日はお招きいただき、ありがとうございます」
「あなたのドレス、ずいぶん地味ね。まぁいいんだけど……」
桜和は母や千代と相談しながら、どのドレスを着ていくかに関しては相当悩んだ。
あまり派手に着飾って誰よりも目立ってしまったら、煌太郎の母は気に入らないだろう。
かといって、あまりにも地味なドレスを選んだら、貧乏くさいと言われるのは目に見えている。
「うん、お願いね」
「今日はみなさん洋装らしいので、お嬢様もドレスですよ」
千代の言葉に、桜和はにこりと満面の笑みを浮かべてうなずいた。
母の言いつけを守り、全身の身なりを整えた桜和は両親と共に馬車で野宮邸へ向かった。
伯爵家である菊地の家もほかと比べると大きいけれど、野宮邸はさらに敷地が広い。
何人もの使用人が出迎えのために玄関先で一列に並び、頭を下げている。
さすがは公爵家だなと、桜和は訪れるたびに毎回圧倒されていた。
社交界がおこなわれる広間へ案内されて足を踏み入れると、上流階級の貴族たちがすでに集まっていた。
桜和と両親もその輪に混じり、お決まりのあいさつを交わしていく。
今日は洋装でと事前に言われていたので、和服姿の者はひとりもおらず、まるで異国に来たみたいだと桜和は緊張が増した。
「あら、桜和さん」
後ろから声をかけられて振り向いた先に、煌太郎の母が憮然とした顔をして立っていたので、桜和はあわてて頭を下げた。
「本日はお招きいただき、ありがとうございます」
「あなたのドレス、ずいぶん地味ね。まぁいいんだけど……」
桜和は母や千代と相談しながら、どのドレスを着ていくかに関しては相当悩んだ。
あまり派手に着飾って誰よりも目立ってしまったら、煌太郎の母は気に入らないだろう。
かといって、あまりにも地味なドレスを選んだら、貧乏くさいと言われるのは目に見えている。



