イジメポリス

『六月七日。北中学の三年江口は本屋で参考書を盗んだ』という文章と、本を鞄に入れる瞬間の手元だけの写真がSNSにアップされていた。

私は絶対に盗みなんてしていない。

その画像はAIで作られたっぽくて。あと店のカメラのチェックをしてもらうと、私がその日に来店した形跡はなかったから疑いは晴れた。

だけど文章と画像はどんどん拡散され、あることないこと否定的なコメントも勢いよく増えていった。

周りの目が怖くなる。気がつけばうつむいていることが多くなっていた。

学校も巻き込まれたからか、無視できなくなったっぽい。

「いたずらだから、気にしないように」とだけ、先生がホームルームでクラスのみんなに伝えた。

その時、犯人が分かった気がした。

多分、前の席にいる宇津井さん。以前ならこういうことに対して過剰に反応していたけれど、今はとても怪しげに笑っているだけだった。

放課後、確認するため宇津井さんがいる図書室へ。入った瞬間、背後からハンカチで口を押さえられた私は意識を失った。目が覚めると私は手足を縛られていた。起きたのを確認した宇津井さんは語り始めた。

「一年生の時にね、サッカー部の三年たちが一年生ひとりをいじめていたの。直接ダメだと言ったらものすごく罵倒されて怖くなっちゃった。先生にも言ったけれどムダで……」

宇津井さんは外をぼんやり眺めている。

「それからこのいじめっ子を制裁する活動を計画したの。なかなか上手くできなかったけれど、今回はこんなに拡散されて上手くいっちゃった!」
「私、いじめなんてしてない!」
「ううん、してたよ! 木下さんの悪口言ってた」
「言ったけど……本人にバレない場所で言ってた、はず……」
「本人後ろにいたんだよ。木下さんに悪口聞こえてた?って聞いたら頷いてた」
「……そんな…いたの気付かなかった。でも、一回だけだよ」
「回数なんて関係ないよ」

私は引っ張られる。
どこに連れていかれるのだろう。

「大人が知らないふりをするのなら、私がお仕置きしなくちゃね。本当はあの人みたいに死刑にしたいけど、この前消しゴム貸してくれたし、図書室の隠し部屋にしばらく閉じ込めるだけにしてあげる!」

サッカー部のいじめの話題が一瞬SNSに投稿されていたことがあった。話題はすぐに消えたけれど、部のボス的な存在の生徒が学校に来なくなったことを思い出した。