約束を超えた先で、君を待つ。

「陽太くん、どうして……」

お店の名前も伝えていないのに。

「店の名前はおばさんに聞いたんだ。それで、今日に合わせて予約しておいた」

「そんな……ありがとう」

「どういたしまして。ほら、ろうそくさすからちょっと貸して」

陽太くんに渡すと、ろうそくを十四本さしてくれて、火をつけてくれる。

「火つけたの山本さんにバレたら多分怒られるから、早くやっちゃおう!」

そのままお母さんと陽太くんで、ハッピーバースデーを歌ってくれて。

「ほら月音、早く火! 消して!」

二人に見つめられながら大きく息を吸ってろうそくに吹くと、一度では消しきれなくて何度も息を吹く。

ようやく全部消えて、

「いぇーい! おめでとー!」

「月音、おめでとう」

「二人とも、ありがとう」

たくさんの"おめでとう"と拍手をもらい、涙が滲む。だけど陽太くんは

「おっと、まだ泣くのは早いぞ月音!」

と言って、わたしに小さな紙袋を渡してくれた。

「これは?」

「誕プレ! 気に入ってくれるといいんだけど」

「開けてもいい?」

「もちろん」

袋をあけると、桜の形のネックレスとお守りが入っていた。

「可愛い……」

「それくらいなら、入院中でもつけれるかなって思って」

「ありがとう……お守りも……うれしい……」

初めてもらった、陽太くんからの誕生日プレゼント。ネックレスだけでもうれしいのに、病気にきくお守りまで。

うれしくて、我慢していた涙があふれる。