約束を超えた先で、君を待つ。

「これは……?」

「月音。誕生日おめでとう!」

「え……?」

たん、じょうび……?

何を言われているのかよくわからなくて、お母さんを見つめるとにこにこと笑っている。そのまま壁にかかっているカレンダーを見つめると、

「……あ、本当だ」

十月三十日。今日はわたしの誕生日だということを思い出した。

入院生活が長すぎて、すっかり忘れていた。そういえば去年も忘れていて、山本さんに言われて初めて気が付いたんだっけ……。

「完全に忘れてた……」

「ははっ、そうだろうと思ったよ。月音って自分のことには鈍そうだし」

鈍そうだなんてひどいじゃないか。そう思いつつも、自分の誕生日を忘れただなんて、これでは言い返すことなんてできそうもない。

「とりあえずあけてみて」

「うん」

袋の中には大きなケーキの箱。

「これ……もしかして……」

陽太くんの顔を見ると、にっこりと微笑んでわたしの反応を見ている。

恐る恐る袋から箱を出して、横から慎重に開ける。

……すると。

「わぁ……すごい……」

たっぷりといちごがのった、チョコレートのホールケーキ。

これは、ついこの間陽太くんに食べたいと話したあのケーキだ。