約束を超えた先で、君を待つ。

その姿をじっと見ているだけでもわたしは楽しかったのだけど、陽太くんが途中で

「……なんか恥ずいからこっちあんま見んなよ。月音も好きなの読んで」

と言われてしまい、諦めて読みかけの小説を広げる。

気が付けば二人とも物語の世界に没頭してしまい、面会にきたお母さんに話しかけられるまで集中して読んでしまっていた。

「月音、今日はごめんな。俺集中しすぎてたみたいで」

「わたしもだから気にしないで。じゃあまたね。気を付けてね」

「あぁ。またな。おばさんも。また来ます」

「気を付けてね。今日もありがとう」

お母さんと二人でひらひらと手を振って見送る。

扉が閉まると、わたしは身体の力を抜き倒れるようにベッドの上に寝そべった。

「……月音。無理はしないでね」

「わかってる。……ただ、心配かけたくないだけだよ」

「気持ちはわかるけど……」

「お母さん、冷蔵庫に入ってるお茶とってほしい」

「……わかったわ」

お母さんがそう言う理由はわかっている。

この一ヶ月の間に、わたしの病気はまた悪化してしまったからだ。

元々無かった体力がさらに削られて、今では院内の散歩なんて全くできないしベッドで寝ている状態から起き上がることも難しい。

陽太くんが来てくれた時は心配をかけたくないから頑張って身体を動かしているけれど、陽太くんが帰った後はいつも疲れきってぐったりしてしまう。
お母さんは無理をするなと言うけれど、わたしにだってプライドというものはあるんだ。ちっぽけだけど。あってないようなものだけど。

それでも、好きな人には見られたくない姿というものはある。……と、思う。