約束を超えた先で、君を待つ。

「月音? どうした?」

「っ、ううん、だいじょぶ……なんでもない」

首を横に大きく振って、深呼吸を繰り返す。

こんなこと、陽太くんに言えるわけがない。

"わたしはもうすぐ死ぬかもしれない"なんて。どうやって伝えればいいの? わたしが倒れただけであんなに泣いてくれた人に、どう言えばいいの……!

「……ならいいけど……」

「うん。ありがと」

笑えない。笑えるようなメンタルじゃない。だけど、笑わないと。陽太くんにこれ以上心配かけちゃいけないんだから。

そう思えば思うほど、今までどうやって笑っていたのかを思い出せなくなってしまい、下を向く。

……あぁ、だめだ。このままじゃ、泣いてしまう。

「……陽太くん」

「ん?」

「……ごめん。やっぱ今日しんどいかもしれない」

嘘をついたわけじゃない。ただ言えないだけ。それなのに、どうしてこんなに胸が痛いのだろう。

「わかった。無理すんなよ? これ、マンガの新刊だけ置いておくから。読めそうなら読んでな。今回もめちゃくちゃ面白いから」

「うん。ありがとう」

わたしの頭をそっと撫でてから病室を出ていく陽太くん。その背中に、ごめんなさいと何度も心の中で呟いた。