約束を超えた先で、君を待つ。

――夢を見た。

そう気が付いたのは、わたしが制服を着て元気に学校に通っている場面だったから。

そこにはなぜか陽太くんもいて、二人で一緒に登校していた。

「病気が治ってよかったな!」

「うん。嬉しい」

「これからは一緒に学校生活楽しもうな!」

陽太くんの笑顔が眩しくて、わたしも嬉しくて頷く。だけど、心のどこかにぽっかりとした穴が空いているような気がして。

病気が治った? 学校に通える? ――本当に?

何かが引っかかって、改めて考えた時にこれは夢だと気が付いた。

だけど、そう気が付いたとしても夢から覚める方法なんてわからない。

……それに、何よりも。

「月音! 早くこいよ! 遅刻するぞ!」

そう呼んでくれる陽太くんの元に行こうと足を踏み出すと、いつもより数倍軽くて飛んでいけそうなくらい足が動いて。

「今行く!」

何年振りかに走れることが嬉しくて、このまま覚めなくてもいいかも、なんて。そう思ってしまう。

「なんだよ泣きそうな顔して。どっか打った?」

「打ってないよ!」

わたしをからかう姿はいつもの陽太くんで、安心した。だけど、どこか違和感があって。

「そういえば、陽太くんってわたしと同じ学校だったの?」

「何言ってんだ? 当たり前だろ?」

夢の世界だからだろうか。いつも面会の時に着ていた制服とは違う。

だけど、同じ学校の制服を着て。同じ学校に通って。

……あぁ。こんな未来が来たらいいなって、いつか想像していたんだっけ。

そう思うと、泣きそうなくらいに嬉しい。

これが夢なら、どうか覚めないで。

――そう強く思った途端。

"――月音!"

どこかから、わたしを呼ぶ陽太くんの声が聞こえた。