約束を超えた先で、君を待つ。

「月音、見て! すげぇよ!」

「え……本当だ! すごい!」

たくさんの花火が怒涛のように打ち上げられ、目が追いつかないほどに美しい。下の方では小さな花火が絶えず上がっていて、どこを見ても綺麗で写真を撮る手が止まらない。

最後のしだれ花火が夜空から降ってくると、終わりを告げる空砲が鳴る。

すると、周りから自然と拍手が巻き起こった。

「すごかったね……! 綺麗だった!」

「だな! 見れてよかったな!」

頷くと、周りの人たちは少しずつ中庭を出ていくようでその姿を見つめる。

「月音ももう戻る?」

「……もうちょっとここにいたい」

「ん。わかった」

余韻に浸りたくて、わがままを言って最後まで椅子に身体を預ける。

陽太くんもわたしも何も話さなかったけれど、沈黙は何も気まずくなかった。

初めて会った時は陽太くんにドン引きして。次に会った時は確か、

"俺陽太。名前なんて言うの?"

突然デイルームでそう話しかけてきて驚いて。

"月音か。じゃあ月音、一緒に遊ぼーぜ"

勝手にわたしのことを呼び捨てで呼び始めて、勝手にわたしを遊びに誘って。

そうして会うたびにわたしに構うから、うざったくて仕方なかった。

それがつい数ヶ月前までのわたしたちだったのに。どうして今はこんなにも心地が良いのだろう。