約束を超えた先で、君を待つ。

その日の夜、消灯時間直前にスマホが鳴り、何かと思ったら陽太くんから電話がかかってきていた。

「電話……!?」

どうして?と思いながら電話に出ると、

『お、もしもし? 月音? 聞こえる?』

といつもと同じテンションの陽太くんの声がする。

「聞こえるよ。急にどうしたの?」

『いやあ、花火のこと、落ち込んでんじゃないかと思って。……あ、もしかして病室って電話禁止だったっけ!?』

「ふふっ、うん。禁止だけど、ここ個室だから大声出さなきゃバレないよ。でももうすぐ消灯時間だからすぐ切らなきゃ」

『そっか、わかった。それで、今も体調悪い? 電話大丈夫?』

「うん、朝よりはなんとか」

『良かった。……月音、さっきはごめんな』

「え? 何が?」

陽太くんは謝るようなこと、何もしていないのに。

『また来年もあるしなんて軽く言って。月音は今年行くのを楽しみにしてたのになって思って』

「……うん」

『だからごめん』

「ううん。陽太くんが謝ることじゃないよ。むしろわたしが謝らないと。陽太くんだってあれだけ楽しみにしてたのに。ごめんね」

『月音のせいじゃねーよ。それに、まだ行けなくなったって決まったわけじゃないんだろ?』

「うん。一応、前日と当日に熱が下がってればって話にはなってる」

わたしが落ち込んでいるのを見て、山本さんが先生にかけ合ってくれたらしい。先生もしぶしぶという感じではあったけれど、条件付きで許可してくれた。