約束を超えた先で、君を待つ。

そんなある日。花火大会まであと一週間となったこの日、わたしは朝から調子が悪くて陽太くんに面会はやめてもらうことにした。

"わかった。ゆっくり寝て。調子戻るまで返事はいいから"

そんな気遣いにお礼を告げて、布団の中にもう一度潜り込む。

「月音ちゃん、朝ごはん食べられそうかな?」

「……ちょっとしんどい」

「わかった。じゃあ一応置いておくから、食べられそうだったら食べてね。無理でもそのまま置いといて。後で下げにくるからね」

「うん。ありがとう」

食事を持ってきてくれた山本さんにもお礼を告げて、鉄分補給の飲むヨーグルトにだけ口をつける。

食欲もないし、なんなら少し頭がクラクラする。

あとからやってきた先生に診てもらい、熱を測ると三十八度を超えているようだった。

「せんせい、これ、花火行けますか……」

思わずそう聞くと、先生は困ったように顎に手を当てて考え始めた。

「んー……なんとも言えないね。でも熱があるうちはさすがに許可はできないからなあ」

「やっぱり……」

じゃあ、来週の花火大会は行けない可能性の方が高い。

陽太くんに

"熱が出ちゃったから花火行けないかも。ごめんね"

と送ると、

"謝んなよ。月音が悪いわけじゃないし。無理しなくていいから。花火大会はまた来年もあるだろ?"

と返事が来て、胸がキュッと痛くなる。

たくさん励ましてもらって、たくさん楽しませてもらって。それなのに、こうやって肝心なところで熱を出してダメにしてしまって、また励ましてもらって。

わたしって、なんでこうなんだろう。なんでこうなってしまうんだろう。

悔しくて、切なくて、情けなくて。涙が止まらなくなる。

……あぁ、わたし、本当に楽しみにしてたんだなあ。

こぼれ落ちる涙を拭いながら、何度も声を押し殺す。

無性に炭酸が飲みたい。飲んで、シュワシュワですっきりさせたい。

だけど、ナースコールを押す元気すらなくて。ひたすら涙を流し続けていた。