約束を超えた先で、君を待つ。

「ちょっと、髪の毛変になるからやめてよ?」

「あぁごめんごめん。嬉しくてつい。でも本当に良かったよ」

「うん。でも、花火大会なんて小学生ぶりだからちょっと緊張するかも」

「去年は?」

「……部屋で寝てた」

「その前は?」

「……部屋で寝てた」

その一言で全てを察したのか、陽太くんは

「じゃあ中庭で月音と一緒に花火見るのは俺が初めてか! そっかー、いやあ照れるなあ」

とニヤニヤしながらまたわたしをからかい始めて。

「何それ! やめてよ変な言い方するの!」

「変じゃねーよ。事実ですー」

空気が重くならないようにわざとふざけているのだろうか。腹が立つほど悔しいけれど、今はその優しさに救われた気がしたのも事実だった。

陽太くんは、宣言通り夏休みに入ると毎日病室にやってきた。

「月音、今日は何する?」

「んー、陽太くんのおすすめは?」

「って言われると思って、ちゃんと用意してきましたー、ジャーン! マンガ全巻一気読み〜!」

「え!? 全巻!?」

「そう! これ俺の好きな少年マンガなんだけどさ、単行本集めてて。今出てるものは全部買ってるから月音にも読んでほしくて全部持ってきた!」

「すご……重かったでしょ」

「ヨユーです!」

ドヤ顔でマンガを並べる陽太くんに笑いつつ、一巻と書かれた単行本を手に取る。