約束を超えた先で、君を待つ。

「あつ……うわ熱いわ。ごめん、俺全然気付かなかった!」

「陽太くんは気にしなくていいよ。わたしが勝手に抜け出してきたんだし」

ははは、と笑ってみせるけれど、陽太くんはすごく傷付いたような表情をするから困ってしまう。

「陽太くん久しぶりだね。でもごめんね、月音ちゃん、今絶対安静なの」

「山本さん、ごめんなさい。俺が中庭行こうなんて言ったから」

「陽太くんのせいじゃないから気にしないでね。ほら月音ちゃん、早く病室戻るよ」

「えぇー……」

「えぇーじゃない! って、炭酸まで飲んで!」

「これくらいいいじゃん……甘いやつじゃないよ。レモンだよ」

「っ……もう、次からは先生に報告するからね……」

「はーい。ありがとう山本さん」

「ほら、早く病室戻るよ!」

山本さんに支えられ、立ち上がってから陽太くんに振り向く。

「ごめんね陽太くん。今日はもう戻る」

「……うん。俺もごめん。また来るから」

「うん。でも足治ってからの方がいいよ」

「うるせー。リハビリもかねて毎日でも来てやるよ。じゃあな」

「うん。ばいばい」

ひらひらと手を振って、中庭を後にする。病室に戻ると、一気に疲れが出てきて動けなくなってしまった。

「もう、無理するから」

「まさか陽太くんに会うとは思わなくて」

「それもそうだけど、まず病室を抜け出してはいけません」

「……だって、炭酸飲みたくなっちゃったんだもん」

「……だからって、ダメなものはダメ」

「わたしが炭酸飲む理由、知ってるくせに?」

「……それは」

「数値が悪かった。熱が出た。自分の身体の調子が悪いと、無性に炭酸が飲みたくなる。なんでなんだろうね」

「……」

言葉を探すように黙ってしまった山本さんは、悲しそうな顔をしてわたしに布団をかけてくれる。

そんな顔をさせたいわけじゃなかったのに。

「……ごめんね山本さん。困らせるつもりはなかったの」

自分の意地の悪さに、吐き気がしそうだ。