約束を超えた先で、君を待つ。

「……っ、ふふっ……」

「……え?」

「ははっ……陽太くん、耳まで真っ赤だよっ」

思わず笑ってしまったわたしに、陽太くんは顔を隠すことも忘れたように呆然とわたしを見つめていて。

「なに、どうしたの」

「いや……月音が俺に笑ったの、初めてだから……」

言われて、今度はわたしが驚いて顔を赤くする番。

「ちょっと、そんなこと言わないでよ」

「かわいいじゃん。月音。もっと笑ったほうがいいよ」

「なっ! やめて、そんなこと言わないで調子狂う!」

「んだよマネすんなよ!」

「陽太くんのせいでしょ!?」

「ちげーよ月音のせいだろ!」

お互い、顔を赤くしながらくだらない言い合いを続ける。しだいにそれすらも面白くなってしまって、気が付けば二人で笑い合っているわたしたちがいた。

それからしばらく二人で会話をしていると、中庭の入り口から

「いた! 月音ちゃん!」

わたしを呼ぶ声が聞こえて、

「あ、やば」

と思わず呟いた。

「どうした?」

「いや……そういえば病室抜け出してきたんだったと思って」

「抜け出してきた!?」

陽太くんの驚きの声とともに、入り口から走ってきた看護師の山本さん。その焦った表情が目に入り今すぐ逃げ出したくなる。

「もう! こんなところで何してるの! 病室抜け出すなんて何考えてるの!?」

「ご、ごめんなさい……」

「自分でわかってるの!? 月音ちゃん、今熱あるんだよ!?」

「熱!? 月音、熱あんの!?」

「あぁ……うん。ちょっとね」

バレてしまったものは仕方ない。頷くと、陽太くんは熱を測るようにわたしのおでこと自分のおでこに手を当てた。