約束を超えた先で、君を待つ。

「嘘はついてねーよ。ただ、転けたって言い方は確かにちょっと違ったかも」

「じゃあ、なに?」

「まぁ、なんていうか……人助け? みたいな」

「人助け?」

「学校の階段降りてたら、後ろから走ってきた女子が足踏み外したみたいでさ。急に叫び声がして、振り向いたら落ちてくるからかなりビビって。それで、咄嗟に手が出てたんだよ。スローモーションみたいに見えてて、思わず受け止めちまって……。それで気がついたらその子の下敷きに。……んで、こうなった」

気まずそうに苦笑いをする陽太くんに、わたしはぱちぱちと瞬きを繰り返す。

「……その女の子は、ケガしなかった?」

「うん。なんとか」

「すごい。かっこいいね。ヒーローじゃん」

まじまじと陽太くんを見つめると、予想外の反応だったのか陽太くんは顔を真っ赤にして体を後ろに引いた。

「なっ……なんだよ急に」

「だって、落ちてきた女の子守ったんでしょ? もちろん階段走っちゃったその子はダメだと思うし、守るために自分が下敷きになっちゃった陽太くんも叱られちゃうかもしれない。だけど、わたしはかっこいいと思うよ」

「っ……そ、う?」

「うん。普通はそんなことできないんじゃないかな。自分が巻き込まれないために避けようとしたり、驚いて固まっちゃって一緒に落ちちゃったり。でも陽太くんは咄嗟に助けようとしたってことでしょ? そうやってすぐ行動できるところ、すごいと思う」

「それは……どうも」

「なに? いつもと違うね。普段もっとふざけてるくせに」

「月音が俺を褒めるからだろ!」

「なにそれ、わたしが褒めたらおかしい?」

「……おかしいっていうか、調子狂う」

赤い顔を見られたくないのだろうか、わたしの顔の前に手を出しながら逆の方を向く陽太くん。だけど、手の隙間から見える耳まで真っ赤になっていることには気付いていないみたいで。