約束を超えた先で、君を待つ。

「……なんでそんなこと聞くの?」

「そういえば今まで聞いたことなかったな……と思って。何回か退院もしてるって言ってただろ。ってことは、入退院繰り返してるんだろ?」

「まぁ、そうだね」

確かに言われてみれば、聞かれたことはなかったし言ったこともなかった。今までは陽太くんが入院している間にしか関わりがなかったし、会えば言い合いばっかりだったし、わざわざ病気のことを言う必要もなかったから。

だからこそ、どうして今さらそんなことを聞くのかわからなくて不安になる。

「言いたくなかったら別にいいよ。ただ俺が勝手に知りたくなっただけだから」

「……言いたくないわけじゃない、けど」

「うん」

「……今まで聞かれなかったから。なんでって思っただけ」

「そっか。そうだよな。ごめん急に。忘れて」

陽太くんはそのままゲームをリュックにしまい、

「俺今日はもう帰るわ。じゃあまたな」

と手を振って病室を出ていく。

「……うん、ばいばい」

そう後ろ姿に声をかけると、振り返ってニカっと笑う陽太くん。なんだか、その笑顔がいつもより暗い気がして胸が締め付けられた。

――それから数日間、陽太くんは病室に姿を現さなかった。

いや、別に待っているわけではないし、来てほしいわけでもない。ただ、ここ最近はいつも用もないのに人の病室に入り浸っていたから、なんだか変な感じがするだけだ。……それだけだもん。本当に、それだけ。

世間ではもうすぐ夏休みだ。わたしは中学校にほとんど登校できたことがないからわからないけれど、この時期はどうやら期末テストというものがあるらしい。もしかしたら、陽太くんはそのテストで忙しいのかもしれない。

「学校、か……」

……もし、病気じゃなかったら。

そんな叶わぬ夢を思い描きそうになって、首を横に振った。