約束を超えた先で、君を待つ。

***

「月音ー、遊びに来たぞー」

「……え、また来たの?」

陽太くんが退院してから一ヶ月後。

当たり前のようにわたしの病室の扉を開けた陽太くんは、中学校の制服姿のままわたしのベッドに腰掛ける。

「そりゃ来るさ。暇だし」

「暇って……中学生なんだから真面目に家で勉強でもしてなよ」

「俺がそんなのできるように見えるか?」

「ううん。バカっぽい。勉強とか全くできなさそう」

「即答はひどくない!?」

陽太くんはあれ以来、ちょくちょく学校帰りにここに遊びに来てはどうでもいい話だけして帰っていく。

今日は学校でこんなことがあったとか、勉強が難しすぎてやばいとか。入院で休んでた二日分の授業も取り戻すのが大変だとか。本当にそんなくだらない話。

最初来たときはまたケガでもしたのかと思ったけど、どうやらわたしに会いに来ているらしい。どうしてかはわからないけど、とりあえず物好きにも程があると思う。

「……陽太くんって、もしかして学校に友達いないの?」

「え、なんで?」

「だって、しょっちゅうここに来てるから」

今日は謎に一人でゲームを始めた陽太くんになんとなく聞いてみると、

「ちゃんと友達くらいいますー。ただ俺は月音が寂しがってると思って遊びに来てるだけですー」

とニヤニヤしながらまたわたしをからかう。

「なっ……頼んでないから!」

「嬉しいくせにー」

「うるさい!」

そんな言い合いをしているうちに看護師さんが呼びに来て、わたしは検査に行くことになった。