――春。都内の、とある街中で。
一台のキッチンカーから、甘い香りが漂っている。
「見て! クレープあるよ! 食べてく?」
「いいね、行こ」
二人の女子中学生が、学校帰りにキッチンカーへと誘われていく。
いちごカスタードのクレープを嬉しそうに持って、友達と一緒に頬張るロングヘアの少女。
「これ、先生にバレたら怒られない? 買い食い禁止じゃん」
「大丈夫だって! パッと食べてパッと帰っちゃえばいいんだから!」
その会話を聞いて、足を止める一人の黒髪の男子中学生。
「……クレープ……」
彼もまた、その甘い香りに誘われるように足を進め、そのままチョコバナナのクレープを持つ。
キッチンカーの手前に置かれた、いくつかのベンチ。そこに腰掛ける女子中学生と、なぜかふと目が合った。
「え……」
「……あ……」
思わず声が出たのは、なぜかはわからない。
だけど。
彼を。彼女を。
お互いを見た瞬間に、何かが頭を駆け巡る。
苦しいくらいの切なさと、狂おしいくらいの儚い気持ち。身体が震えるくらいの衝撃に、倒れてしまいそうだった。
知らないはずなのに、なぜだかこの人と出会うことが必然だったかのような。
ずっと、心の奥底でこの人と出会うことを待ち望んでいたかのような。
そんな、本能からの衝撃。
何がなんだかわからない。電流が走ったと言えばいいのか。これは一目惚れなのか。それはわからなかった。
だけど、二人はお互いに目を逸らすことができず、そっと口を開く。
「……あの」
「……あの」
「俺たち……どこかで会ったことありませんか?」
「わたしたち……どこかで会ったことありませんか?」
二人の間を、桜の花びらが舞い落ちていく。
空には、一筋の綺麗な飛行機雲が伸びていた。
end
一台のキッチンカーから、甘い香りが漂っている。
「見て! クレープあるよ! 食べてく?」
「いいね、行こ」
二人の女子中学生が、学校帰りにキッチンカーへと誘われていく。
いちごカスタードのクレープを嬉しそうに持って、友達と一緒に頬張るロングヘアの少女。
「これ、先生にバレたら怒られない? 買い食い禁止じゃん」
「大丈夫だって! パッと食べてパッと帰っちゃえばいいんだから!」
その会話を聞いて、足を止める一人の黒髪の男子中学生。
「……クレープ……」
彼もまた、その甘い香りに誘われるように足を進め、そのままチョコバナナのクレープを持つ。
キッチンカーの手前に置かれた、いくつかのベンチ。そこに腰掛ける女子中学生と、なぜかふと目が合った。
「え……」
「……あ……」
思わず声が出たのは、なぜかはわからない。
だけど。
彼を。彼女を。
お互いを見た瞬間に、何かが頭を駆け巡る。
苦しいくらいの切なさと、狂おしいくらいの儚い気持ち。身体が震えるくらいの衝撃に、倒れてしまいそうだった。
知らないはずなのに、なぜだかこの人と出会うことが必然だったかのような。
ずっと、心の奥底でこの人と出会うことを待ち望んでいたかのような。
そんな、本能からの衝撃。
何がなんだかわからない。電流が走ったと言えばいいのか。これは一目惚れなのか。それはわからなかった。
だけど、二人はお互いに目を逸らすことができず、そっと口を開く。
「……あの」
「……あの」
「俺たち……どこかで会ったことありませんか?」
「わたしたち……どこかで会ったことありませんか?」
二人の間を、桜の花びらが舞い落ちていく。
空には、一筋の綺麗な飛行機雲が伸びていた。
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