約束を超えた先で、君を待つ。

「ん……」

目が覚めた時、まず見えたのは心配そうな表情の山本さんだった。

「月音ちゃん、目が覚めた? すごくうなされて泣いてたから心配で……」

「……や、まもと……さん」

「っ! 月音ちゃん! 聞こえる!?」

こくりと頷くと、山本さんはナースコールを押しながらわたしのことを抱きしめてくれて。

どれだけみんなに心配をかけてしまっていたのかと、申し訳なく思った。

陽太くんが死んでしまってから、もうかなりの日数が経ってしまっていたらしい。それにすら気が付かないほど、毎日を空虚に生きていたようだ。

「……夢でね、陽太くんに会ったの」

お母さんにそう話し始めると、お母さんは泣きそうな顔で

「陽太くん、何か言ってたの?」

と聞いてくれて。

「うん。……わたしの、背中を押してくれたの」

「背中?」

「ちゃんと人生を全うしろって。ちゃんと生きろって。そうしたら、新しく生まれ変わった世界でわたしのことを待っててくれるって。俺は諦めない。だから、月音も諦めんなって」

「……そう。そうだったの」

お母さんは静かに涙を流して、そして笑う。

「それなら、お母さんは陽太くんに感謝しないと」

「え?」

「お母さんも、諦めないからね」

……あぁ、陽太くん。わたしの命を諦めないでいてくれる人が、こんな近くにいたよ。ううん、わかってた。もちろんわかってた。だけど、ずっと気が付かないふりをしていたのかもしれない。

「ごめんねお母さん。……ありがとう」

――その日から、わたしは自分の人生を全うするために必死に治療を受けた。

苦しいこともたくさんあって、やめてしまいたいと何度も思った。寂しくて何度も泣いた。だけど、そのたびに陽太くんとの約束を思い出して。ネックレスを握りしめて。

必死に頑張って、必死に生き抜いて。

……だけど、神様はやっぱりいじわるだ。

わたしは、陽太くんが亡くなってからちょうど一年後。宣告された余命を大幅に超えた秋の終わり、静かにその命に幕を閉じたのだった。