約束を超えた先で、君を待つ。

「ねぇ山本さん。嘘だよね。……お母さん、違うよね? 陽太くん、来るよね?」

「月音……っ、月音」

「お母さん、どうしたの。お母さんまで何で泣いてるの……」

お母さんまでわたしを抱きしめてきて、なんかもう、わけがわからない。

「ねぇ、嘘だって言ってよ。ドッキリとかやだよ。わたしそういうの向いてないよ。リアクションとかとれないよ。ていうかタチ悪くない? やめてよ。冗談でしょ? 意味わかんないよ。なんで泣くの。泣かないでよ。やだよ。嘘だよ。ありえないって。なんで、だって、おかしいって。無理、無理だよ。嘘だって。無理だよ、無理……」

お願いだから、嘘だと言って。

お願いだから、冗談だと言って。

今なら許してあげる。怒らない。怒らないから。だからお願い。言ってよ。嘘だって。冗談だよって。陽太くんはもうすぐくるからって。言ってよ。お願いだから。

「おねがい……うそって言って……言ってよおおお……っ……! うあああああああああ!」

嫌だ。認めたくない。理解したくない。

だって、そうしたら。

「……月音っ、陽太くんはもうっ……」

「いやっ! 嫌だ! 絶対いやだっ!」

「月音ちゃん、お願い、聞いて」

「いやだよ! 何も聞かない! 聞きたくない!」

そうしたら、本当になっちゃう。

――本当に、陽太くんが死んでしまったことになっちゃうから。